「やった」課

「やる」と心の中で思ってたら、すでに行動は終わっていたんだ

【書評】モノの売り方がわからないなら「行動デザインの教科書」で人々の行動に着目せよ

読みました。

売るモノの良い悪いでなく、人のニーズとか行動というモノの外側にある要因からマーケティングを再考する本です。
人とモノをつなぐ「行動」に着目してマーケティングをデザインするのがメインテーマ。
商品そのものの改良やブランディングという手法に限界を感じるなら、この視点には大きな学びがあると思います。


内容紹介(Amazonより引用)

「人を動かす」ことがマーケティングの目的であり、〈行動デザイン〉の目的です。
右肩下がりの日本市場では、今までのマーケティング戦略が通用しなくなったと言われています。良い商品を作れば売れる、広告すれば売れるという時代は終わりました。
「買う」「使う」といった「行動」を誘発する新たな〈行動デザイン〉発想は、マーケティングの成功をもたらす新戦略となることでしょう。

概要

1、2章は「市場を行動で捉えなおす」章
市場概念をモノからではなく「行動」で捉えなおす意識転換を促します。

3、4章は「感覚を行動で捉えなおす」章
人の無意識下の感覚を理解し制御するアプローチについて説明してあります。

5、6、7章は「ゴールを行動で捉えなおす」章
マーケティングのゴールを「行動成果」で設定してゴール実現のための「行動デザイン」を設計します。
従来の認知獲得型(知られること第一)のマーケティングを脱却します。

8章は「習慣を行動で捉えなおす」章
行動を習慣ささせるためのアプローチについて、快感やアクセシビリティの要因から模索します。

以下、面白かった内容について言及させていただきます。

人は行動したがらない

人は基本的に行動したくないのでそうです。
それは省エネ と 変化によるリスクを回避するため。(同意)

人が実際に行動するまでの障害 3段階 とその例
 |段階            | ex)がん検診に関する広告をみたとき
1|自分ごとと思えない     |「へえ」(意識に上らない・視界に入らない) 
2|やるべきでもやりたくない  |「歳だしがんとか気になるけど断酒断食できないわ」
3|やりたいけどなんか腰が重い |「家庭もあるし検診行くべきだけど今仕事が忙しくてね」

どうすれば人は動くのか

動かしたい人々が「何」にどのくらいのリスクを感じているかを理解するとアプローチが見えるそうです。
ex)がん検診なら「しんどい」「時間がかかる」「金がかかる」「恥ずかしい」「病院が遠い」「緊急じゃない」など

以降本文では、どんなリスクが人々に重要視されるか や
リスクを考えるより先に動いてしまう動機 に関するヒントが満載となっております。

感想

モノが売れない時代、なんて言葉がすっかり定着した感のある消費飽和社会でのマーケティングとして新しい目線をもらいました。
各トピックスの根拠となるのは社会心理学などの知見によるところが多々ありますが、
それを現代社会のためのマーケティングの切り口として「行動」を中心に考えるというのが新しいと感じます。

私自身は現在マーケティングという分野から離れた仕事をしていますが、この分野には無縁ではいられないだろうと興味を持ってました。
実際に市場に立ち向かうような活動をする際には、どうしても陥りがちなモノ発想から抜け出し、
人々が「なぜ」「どのような」行動をとりたいかという目線に立ってみようと思います。